
「何社受けても落ちる」
「面接までは行けるのに、なぜか内定につながらない」
ASD(自閉スペクトラム症)の特性がある人の中には、就職活動で同じ壁にぶつかり続けている方が少なくありません。
努力していないわけではない。
準備もしている。
それでも結果が出ない。
この記事では、ASDの人が「就職できない」と感じやすい背景にあるリアルな現実を、体験談ベースで整理しながら、見落とされがちなポイントと対処の方向性をお伝えします。
ASDで就職が難しくなりやすい理由
ASDの人が就職でつまずきやすいのは、能力不足が原因ではありません。
多くの場合、就職活動そのものの仕組みと特性の相性が影響しています。
① 面接という形式が極端に不利
面接では、
・雑談力
・空気を読む力
・曖昧な質問への即答
が求められがちです。
これは、ASDの人にとって非常にハードルが高い条件です。
実務能力とは関係のない部分で評価が決まってしまうため、実力が伝わりにくくなります。
② 「普通」を前提にした質問が多い
「臨機応変に対応できますか」
「チームワークは得意ですか」
こうした質問は抽象度が高く、どう答えるのが正解か分かりにくいものです。
正直に答えるほど、不利になると感じる人もいます。
③ 落ちた理由が分からない
不採用の理由は、ほとんどの場合フィードバックされません。
そのため、
「何がダメだったのか分からない」
状態で、同じ失敗を繰り返してしまいます。
【体験談】就職活動で感じた現実
ASD当事者の多くが、次のような感覚を語ります。
・書類は通るのに、面接で落ちる
・面接官の反応が途中から変わる
・「悪い人ではないけど…」という空気を感じる
はっきり否定されるわけではない。
でも、確実に距離を感じる。
この「理由が言語化されない不採用」が、自己否定につながりやすくなります。

就職できない=社会不適合ではない
何度も落ちると、
「自分は社会に向いていないのでは」
と感じてしまいます。
ですが、それは早すぎる結論です。
評価されていないのは、能力ではなく、伝え方や場の形式であることが多いからです。
ASDの人が見落としやすいポイント
① 一般枠にこだわりすぎている
一般枠の就職活動は、暗黙の了解が多く、ASDの人には不利になりやすいです。
一方で、
・障害者雇用
・配慮前提の職場
では、評価基準そのものが変わる場合があります。
② 「苦手」を隠そうとしすぎている
苦手を隠すために、過度に無理をすると、面接でも不自然さが出やすくなります。
結果として、
「一緒に働くイメージが持てない」
と判断されることがあります。
③ 環境との相性を見ていない
仕事内容だけでなく、
・指示の出し方
・業務の進め方
・人間関係の距離感
こうした要素も、働きやすさに大きく影響します。
現実的な対処の方向性
① 面接対策を「型」で用意する
想定質問に対して、
・具体例
・結論
をセットで準備しておくことで、曖昧な質問への負担を減らせます。
② 支援サービスを使う
就労移行支援やキャリア支援は、
「できない人のため」ではありません。
特性に合った働き方を探すための手段です。
③ 「就職」以外の形も視野に入れる
業務委託。
在宅。
職務を限定した働き方。
選択肢は一つではありません。

ASDの人が安定しやすい条件
多くの当事者に共通しやすいのは、
・指示が明確
・役割がはっきりしている
・急な変更が少ない
こうした環境です。
能力が発揮できるかどうかは、条件次第で大きく変わります。
まとめ
ASDで「就職できない」と感じる現実は、確かにつらいものです。
ですが、
それは能力不足の証明ではありません。
評価の場と特性が噛み合っていなかっただけの可能性が高いです。
次のステップとして、
「これまで一番しんどかった就活場面」を一つ書き出してみてください。
そこに、避けるべき条件と、選び直すヒントがあります。
