うつで休職を考えるとき、避けて通れないのがお金の問題です。「傷病手当金がもらえるのは知ってるけど、それだけで生活できるの?」。これは、とても大事な問いです。
結論から言うと、傷病手当金は給料の約3分の2なので、人によっては足りない可能性があります。
この記事では、休職中に必要な生活費を洗い出し、傷病手当金だけで足りるかどうかを具体的に試算します。
休職中に必要な生活費はいくら?
まずは、毎月どのくらいのお金が出ていくのかを把握しましょう。
単身世帯の生活費の目安は月15〜20万円
家賃・食費・光熱費・通信費などを合わせると、単身世帯の生活費はおおむね月15〜20万円が目安です。ただし、これは地域や生活スタイルによって大きく変わります。
正確に知るには、現在の支出を1〜2ヶ月分書き出してみるのが確実です。
休職中に増える支出に注意
休職中は、会社員時代になかった出費が増えることがあります。たとえば通院費や薬代。うつの治療では、定期的な通院と服薬が続くため、医療費がかさみます。
また、在宅時間が増えることで、光熱費が上がる傾向もあります。
社会保険料・住民税は休職中も発生する
見落としがちなのが、社会保険料と住民税です。休職して給料が出なくなっても、健康保険料・厚生年金保険料・住民税は発生し続けます。
在職中は給与から天引きされていたこれらを、休職中は自分で支払う(または会社に振り込む)必要があります。この負担を忘れていると、「思ったよりお金が残らない」という事態になります。
傷病手当金だけで足りるか試算してみる

では、実際に傷病手当金だけで生活が成り立つのか、計算してみましょう。
ケース:標準報酬月額26万円の単身者
額面の給料が月26万円ほど(標準報酬月額26万円)の単身者を例にします。
傷病手当金(支給額)
26万円 ÷ 30日 × 2/3 ≒ 1日あたり約5,778円
ひと月(30日)でおよそ17.3万円
ただし、これは額面です。ここから社会保険料と住民税が引かれるため、手元に残るのはおよそ12〜13万円程度になります。
支出と照らし合わせる
一方、必要な生活費を見てみましょう。
- 家賃:6万円
- 食費:3万円
- 光熱費・通信費:2万円
- 通院費・薬代:1万円
- その他(日用品など):1.5万円
合計でおよそ13.5万円。手取りの傷病手当金(約12〜13万円)と、ほぼ同じか、わずかに足りないくらいです。
つまり、ぎりぎり成り立つものの、余裕はほとんどないことがわかります。
「足りない分」をどう埋めるか
試算の結果、多くの人にとって傷病手当金だけでは余裕がないことが見えてきます。この不足分を埋める方法は、主に3つです。
- 貯金を取り崩すこと
- 自立支援医療などで支出そのものを減らすこと
- 後述する各種減免制度を活用すること
不足を補う3つの工夫

傷病手当金で足りない分を、無理なく補う方法を紹介します。
自立支援医療で通院費を1割に
精神疾患で通院している場合、自立支援医療を申請すると医療費の自己負担が3割から1割になります。通院費・薬代が毎月かかる療養期間中は、この効果が積み重なって大きな差になります。
保険料・税金の減免を申請する
休職や退職で収入が減った場合、国民健康保険料の減免や、国民年金保険料の免除・猶予、住民税の減免を申請できる場合があります。申請しなければ通常どおり請求されるので、市区町村の窓口で相談してみましょう。
数ヶ月分の貯金を用意しておく
最も確実なのは、休職前に生活費の数ヶ月分を用意しておくことです。傷病手当金は初回の入金まで時間がかかるため、その空白期間をしのぐ意味でも、手元の現金は心の安定につながります。
可能であれば、生活費の3〜6ヶ月分を目安に準備できると安心です。
まとめ|「ぎりぎり」を前提に、備えと制度で余裕を作る
休職中の生活費は単身で月15〜20万円が目安ですが、傷病手当金(手取り)はそれをやや下回ることが多く、余裕は生まれにくいのが現実です。しかも社会保険料や住民税は休職中も発生します。
だからこそ、自立支援医療で支出を減らし、減免制度を活用し、できれば数ヶ月分の貯金を用意しておくことが大切です。
お金の見通しを立てておけば、「足りないかも」という不安に追われず、回復に専念できます。休職を決める前に、一度ご自身の支出を書き出して試算してみてください。
- 生活費の目安は月15〜20万円: 単身世帯の場合。地域や生活スタイルで変動する
- 傷病手当金は余裕が出にくい: 手取りは目安を下回りがちで、ぎりぎりになりやすい
- 社会保険料・住民税は休職中も発生: 見落とすと「お金が残らない」事態に
- 不足は3つで補う: 貯金の取り崩し・自立支援医療・各種減免制度の活用
- 事前に試算しておく: 支出を書き出し、生活費の3〜6ヶ月分を準備できると安心
※本記事は2026年6月時点の一般的な解説です。金額はモデルケースであり、実際の支給額・生活費は個人の状況によって異なります。
※つらい気持ちが続くときは、一人で抱えず相談窓口に頼ることもできます。
