うつで働けないとき、退職と休職のメリット・デメリット比較

うつで働けなくなったとき、多くの人が悩むのが「辞めるべきか、休むべきか」です。もう限界だから辞めてしまいたい。でも、辞めたら収入も再就職も不安。その揺れる気持ち、当然のものです。

退職と休職には、それぞれメリットとデメリットがあり、どちらが正解かは人によって変わります。

この記事では、お金の観点を中心に、退職と休職を冷静に比較していきます。

まず押さえたい:休職と退職の違い

a woman covering her face with her hands

判断の前に、2つの違いを整理しておきましょう。

休職は「会社に籍を残したまま休む」

休職は、会社員の身分を保ったまま、一定期間仕事を休む制度です。復職を前提としており、傷病手当金を受けながら療養できます。

ただし、休職制度があるかどうか、期間がどのくらいかは、会社の就業規則によって異なります。

退職は「会社との関係を終える」

退職は、会社を辞めて雇用関係を解消することです。人間関係や職場環境のストレスから完全に離れられますが、収入と社会的な所属を失います。

休職のメリット・デメリット

a woman sitting in front of a laptop computer

まず、休職を選んだ場合を見ていきましょう。

休職のメリット

第一に、収入を確保しながら療養できることです。傷病手当金で給料の約3分の2を受け取りながら、最長1年6ヶ月まで休めます。

第二に、社会的な所属が残ることです。「会社員である」という立場が残ることで、心理的な安心感につながる人もいます。第三に、復職という選択肢を残せることです。回復したら元の職場に戻れるため、転職活動の負担がありません。

休職のデメリット

一方で、いくつかの負担もあります。まず、復職へのプレッシャーです。「いつか戻らなければ」という意識が、かえって回復の妨げになることがあります。

また、休職の原因が職場そのものにある場合、戻っても同じストレスにさらされる可能性があります。さらに、休職中も社会保険料の支払いは続きます。

退職のメリット・デメリット

man in black jacket sitting on chair

次に、退職を選んだ場合です。

退職のメリット

最大のメリットは、ストレス源から完全に離れられることです。職場の人間関係やパワハラが原因の場合、離れること自体が回復につながります。

また、復職へのプレッシャーから解放され、自分のペースで療養や転職活動に取り組めます。環境を一新して、新しいスタートを切れる点も魅力です。

退職のデメリット

一方、デメリットも小さくありません。まず、収入が不安定になることです。退職後も傷病手当金を継続できる場合がありますが、条件を満たさなければ受け取れません。

また、再就職には時間と労力がかかります。うつの症状が残っている状態での転職活動は、心身の負担になりやすい点にも注意が必要です。

お金で考える:退職前に知っておくべきこと

stressed woman with head in hands at laptop

「辞めるなら、損をしない辞め方」を知っておきましょう。

退職しても傷病手当金を継続できる場合がある

在職中から傷病手当金を受けていれば、一定の条件を満たすことで退職後も継続して受け取れます。

主な条件は、退職日までに健康保険の被保険者期間が継続して1年以上あること、退職日に傷病手当金を受給中または受給できる状態であること、そして退職日に出勤していないことです。この「退職日に出勤しない」は特に重要で、少しでも出勤すると継続給付を受けられなくなります。

退職のタイミングで損をしないために

退職を急ぐあまり、これらの条件を満たさずに辞めてしまうと、本来もらえたお金を失うことがあります。たとえば、健康保険の加入期間が1年に届かないうちに退職すると、継続給付の対象外になります。

「あと少し在籍すれば条件を満たせた」というケースは、実際によくあります。退職日を決める前に、自分が継続給付の条件を満たすか、確認しておきましょう。

判断のヒント:どちらが自分に向いているか

a woman covering her face with her hands

最後に、選ぶときの考え方を整理します。

休職が向いているのは、職場以外に原因がある場合や、回復後に同じ会社で働き続けたい場合です。退職が向いているのは、職場そのものが大きなストレス源で、離れることが回復に直結する場合です。

ただし、これは一人で抱えて決めることではありません。主治医に「今は休職と退職、どちらが回復によいか」を相談することが、何より大切です。医学的な視点からのアドバイスは、判断の大きな支えになります。

まとめ|焦って決めず、お金と医師の両面から考える

man in black jacket sitting on chair

休職は収入と所属を保ちながら療養でき、退職はストレス源から完全に離れられます。どちらにもメリットとデメリットがあり、正解は人によって違います。

お金の面では、退職する場合でも傷病手当金を継続できる条件を満たしておくことが、損をしない鍵になります。そして、最終的な判断は一人で背負わず、主治医に相談しながら決めてください。

「辞める」か「休む」かで頭がいっぱいのときこそ、いったん立ち止まって、お金と医師の両面から考えてみましょう。

この記事のポイント
  • 休職は所属を保てる: 収入を確保しながら療養でき、復職という選択肢も残せる
  • 退職はストレス源から離れられる: 職場が原因なら離れること自体が回復につながる
  • 退職後も傷病手当金は継続できる場合がある: 被保険者期間1年以上などの条件を満たすこと
  • 退職日に出勤しない: 少しでも出勤すると継続給付を受けられなくなる
  • 最終判断は一人で抱えない: お金の面と、主治医の医学的な視点の両面から考える

※本記事は2026年6月時点の一般的な解説です。休職制度の有無・内容は会社の就業規則により、傷病手当金の継続給付の可否は個人の状況によって異なります。
※つらい気持ちが続くときは、一人で抱えず主治医や相談窓口に頼ることもできます。

この記事を書いた人

ライター

学生時代から繊細な心と二人三脚。うつや不安障害と向き合う。製薬会社の開発部で約6年勤務後、独立。寛解の経験をもとにHSP、繊細さんへの発信に注力。